骨粗鬆症について

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち

過去問を用いて骨粗鬆症の問題と解説をしていきます。

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骨粗鬆症とは?

骨の強度が低下してもろくなり、骨折しやすくなる病気のこと。

なぜそうなるの?

大きく分けて2つあります。

OKジョブシニア

1つ目は原発性の骨粗鬆症

・明らかな疾病からくるものではなく、加齢により女性ホルモンであるエストロゲンの減少や運動不足、生活習慣からくるもの

※エストロゲンについては一番下にもう少し詳しく書いてあります※

2つ目は続発性の骨粗鬆症

・病気や薬の影響などからくる骨粗鬆症で甲状腺機能亢進症やクッシング症候群などの2次的に起こるもの

診断基準

検査は主にDXA法というものが用いられます。

DXA法によって骨評価や骨密度測定を測ります。

注:検査方法DXA以外もありますが主に使われているのがDXA法なので他は省略します。

出題度

評価 :3/5。
第33回問138
第34回問37
第36回問131
過去5年分

過去5年間において、人体の構造と機能から1問、臨床栄養学から2問出題されています。

出題ポイント

・骨粗鬆症の特徴

・何が「骨吸収」で何が「骨形成」なのかを把握しておくこと

では、過去問を解いていきましょう!

第33回 問138

骨粗鬆症に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)骨吸収は、閉経後に低下する。

(2)骨型アルカリフォスファターゼは、骨吸収マーカーである。

(3)低カルシウム血症となる。

(4)食塩摂取過剰は、リスク因子となる。

(5)治療には、ステロイド薬が用いられる。

(解答) 4

食塩の過剰摂取により余分な塩分が尿として排出され、同時にカルシウムも一緒に排出されてしまうため。


(解説)

(1) 骨吸収は閉経後に上昇する。

 閉経後に減少するエストロゲンの影響によるもの(一番下に詳細があります。)

(2) 骨型アルカリフォスファターゼは骨形成マーカーである。

 骨吸収マーカーは「尿中デオキシピリジノリン」である。

(3) 低カルシウム血症にはならない。

 骨粗鬆症は低カルシウム血症によるものではなく、また骨粗鬆症において低カルシウム血症にはならない。

(5) 治療ではステロイド薬は用いない。

 治療薬としてはビスホスホネート薬などが用いられる。

 ステロイド薬は副作用として骨量の低下や骨質の低下などが挙げられている。

第34回 問37

問題 骨粗鬆症に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)骨芽細胞は、骨吸収に働く。

(2)カルシトニンは、骨吸収を促進する。

(3)エストロゲンは、骨形成を抑制する。

(4)尿中デオキシピリジノリンは、骨形成マーカーである。

(5)YAM(若年成人平均値)は、骨密度の評価に用いられる。

(正解) 5

※YAMとは※

20歳~44歳の健康な人の骨密度を100%とした場合、実際に検査をした人はどの割合(%)の骨密度があるのかを調べる方法

もし仮に「YAM80%」と示されていれば骨密度は若い人の平均の80%くらいといった感じです。

ちなみに80%以上が正常値とされています。


(解説)

(1)骨芽細胞は骨形成に働く。

(2)カルシトニンは骨吸収を抑制する

(3)エストロゲンは骨吸収を抑制する

(4)尿中デオキシピリジノリンは骨吸収マーカーである。

 骨基質の主成分であるコラーゲンが骨吸収により分解されて尿中に放出されるため

 骨吸収マーカーとして使用される。

第36回 問 131

問題

70歳、女性。体重48㎏、標準体重50㎏。自宅療養中の骨粗鬆症患者である。

1日当たりの栄養素摂取量の評価を行った。改善が必要な項目として、最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)エネルギー 1500kcal

(2)たんぱく質60g

(3)ビタミンD 4μg

(4)ビタミンK 300μg

(5)カルシウム 700mg

(解答) 3

ビタミンDの推奨量は10μg~20μgなので不足している。

※ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を促進する働きがあるので不足すると骨形成に影響が出ます。また欠乏症として、骨軟化症などが挙げられます。


(解説)

(1)エネルギーは標準体重が50㎏なので、1500~2000kcalが目安となっているので改善しなくてもよい

(2)たんぱく質は、65歳以上における推奨量が60gなので改善しなくてもよい

(4)ビタミンKの推奨量は250μg~300μgなので改善しなくてもよい

(5)カルシウムは700㎎~800mgの摂取を推奨しているため改善しなくてもよい

エストロゲンとは?

エストロゲンとは女性ホルモンの一種で子宮内膜を増殖させる働きを持ちます。

他には骨吸収を抑制し骨量を維持する働きや、コレステロール値などを整える働きもあります。

40代あたりからエストロゲンは分泌量が減少し、閉経となっていきます。

エストロゲンの働きが減ったことで骨が弱くなったり(骨量が維持できなくなった)、コレステロール値が上がってしまっていたといった感じになってしまうのです。

特に40代の方などは健康診断でコレステロール値が高くなってた!という経験をした方もいるのではないでしょうか

さいごに

設問にある「吸収」と「抑制」について

カルシトニン、エストロゲンは骨吸収を抑制するのであって、骨形成を促進するではありません。

骨吸収を抑える働きを持つのであって形成には関与しないためです。

似たような意味にとらえがちですが、注意して覚えておきたいですね

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