第37回管理栄養士国家試験 問7 【身体活動・運動】

社会 環境と健康
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第37回 問7

(問題)

身体活動に関する記述である。 最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)身体活動の増加は、大腸がんのリスクを低減する。

(2)国民健康・栄養調査によると、20歳以上の1日の歩行の平均値は、男女とも平成22年以降8000歩を超えている。

(3)国民健康・栄養調査では、運動習慣のある者の定義を「1回60分以上の運動を週4回以上実施し、1年以上継続している者」としている。

(4)「健康づくりのための身体活動基準2013」では、18歳未満に対して、世代共通の方向性に加えて、定量的な身体活動の基準が定められている。

(5)身体活動の強度の指標として用いられるメッツ(METs)は、身体活動のエネルギー消費量を基礎代謝量で除した値である。

(解答)1


(解説)

(2)8000歩を超えているのは男性の20歳~29歳のみである。20歳以上男女すべてにおいて8000歩は超えていない。(※R元年国民健康・栄養調査資料より)

(3)国民健康・栄養調査での運動習慣の定義は「1日30分以上を週2回以上実施し、1年以上継続している者」としている。

(4)18歳未満については身体活動の基準が定められていない。

(5)メッツとは安静の状態で消費したエネルギーを1とした場合、その運動で消費したエネルギーが安静の状態のエネルギーの何倍にあたるかを示したものである。

この記事はこんな人に向いています

・管理栄養士国家試験に挑戦したい人

・管理栄養士国家試験の過去問を解きたい人

・身体活動についておさらいをしたい人 など

身体活動に関する出題度

評価 :3/5。
第32回問7
第33回問8
第37回問7
過去5年分

※第36回の問7も身体活動に関する問題ですが、厚労省の解答で「答えなし」となった問題のため省略してます。

身体活動とは?

身体活動とは「安静にしている状態より多くのエネルギーを消費するすべての作動」と定義される。

すなわち運動だけでなく家事や労働、通学、散歩など日常のすべての活動が身体活動に含まれている。

それらの身体活動は将来的に疾病を予防したり、健康増進やQOLの向上につながるきっかけになると位置づけられています。

日頃の日常生活で行っている活動すべてが身体活動といわれるものです。

健康増進にもなるので積極的に意識して行動していきましょう!

身体活動・運動の過去問

第32回 問7

(問題)

身体活動・運動ん関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)健康づくりのための身体活動基準2013では、小児の身体活動の基準値が示されている。

(2)3メッツ以上の身体活動でなければ、健康に対する効果は得られない。

(3)身体活動・運動は、直腸がんのリスクを低減する。

(4)身体活動・運動は、骨格筋のインスリン抵抗性を高める。

(5)身体活動・運動は、HLD-コレステロール値を低下させる。

(解答) 3


(解説)

(1)健康づくりのための身体活動基準2013では、小児の身体活動の基準は示されていない。

※小児を含む18歳未満は科学的な根拠が不十分なため、具体的な基準値は設けられていない。

(2)3メッツ以上の身体活動は推奨されているが、身体活動については年齢区分によって基準が設けられており、全ての年齢の人が3メッツ以上を推奨している訳ではない。

(4)身体活動・運動は、骨格筋のインスリンの抵抗性を改善する。

(5)身体活動・運動は、HDL-コレステロール値を上昇させる。

第33回 問8

(問題)

習慣的な運動の影響に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)血清HDL-コレステロール値を上昇させる。

(2)インスリン感受性を低下させる。

(3)認知機能を改善する。

(4)うつ状態を改善する。

(5)結腸がんのリスクを低減する。

(解答) 2


(解説) インスリンの感受性を上昇させる。

インスリンとは血糖値を下げる働きを持つホルモンのこと。

感受性が高まるということはインスリンの働きが良くなる状態をいう。

問題では「インスリンの感受性を低下させる」とあるが、正しくは「インスリンの感受性を高める」が正解になります。または「インスリンの抵抗性を改善する」も正解です。

運動習慣によってインスリンの感受性が高まり、その結果血糖値を上昇を抑えることにつながります。

感受性の反対に「抵抗性」と呼ばれるものがあるが、インスリンの抵抗性は「インスリンの効きが悪くなる」ことをいいます。

用語解説

メッツとは?

運動習慣の目安として「メッツ」を単位とした基準が設けられています。

メッツとはどういう基準なのでしょうか?

メッツとは

身体活動の強度を表す単位のことで、安静の状態で消費したエネルギーを1とした場合、その運動で消費したエネルギーが安静の状態のエネルギーの何倍にあたるかを示したものである。

運動と生活活動を表にしてみました。

メッツ運動生活活動
3メッツ以下ストレッチ立位
ガーデニング
3メッツボウリング
バレーボール
普通歩行
家財道具などの片づけ
6メッツ水泳
ジョギング
雪かき
8メッツサイクリング
ランニング
運搬(重い荷物)

推奨されている3メッツは普通歩行でいうと1時間くらいに相当します。

また、身体活動の基準は年齢によって区分されており、18歳~64歳、65歳以上となっています。

18歳~64歳65歳以上
生活活動3メッツ以上推奨
(毎日60分くらい)
身体活動を毎日40分
運動3メッツ以上の強度の運動
強度の運動とは息が弾み、汗をかく程度のこと。生活活動は日常生活における労働、家事、通勤などを指す

まとめ

・身体活動とは運動だけでなく日常生活の活動全ても含まれる。

・身体活動を表す単位は「メッツ」である。

・18歳未満は身体活動区分には含まれない。

・「インスリンの感受性は高まる」と「インスリンの抵抗性を改善する」は同じ意味を持つ

 ※「感受性」と「抵抗性」の意味をしっかりと理解しておきましょう!

参考資料

第37回管理栄養士国家試験の問題について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

令和元年「国民健康・栄養調査」の結果を公表します (mhlw.go.jp)

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