第37回管理栄養士国家試験 問3 上水道

社会 環境と健康
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第37回 問3

上水道および水質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)クリプトスポリジウムは、塩素消毒で死滅する。

(2)水道水の水質基準では、一般細菌は「検出されないこと」となっている。

(3)水道水の水質基準では、pHの基準値が定められている。

(4)水道水の水質基準では、水銀の量に関して「検出されないこと」となっている。

(5)生物化学的酸素要求量が低いほど、水質は汚濁している。

(解答) 3

水道法により定められている水質基準はpH5.8~8.6

pH7が中性なのでpH5.8~8.6は弱酸性~弱アルカリ性の範囲と言えます


(解説)

(1)クリプトスポリジウムは、塩素消毒で死滅しない。

(2)水道水の水質基準で「検出されないこと」となっているのは大腸菌のみである。

(4)水道水の水質基準で水銀

(5)水質が汚濁している場合、生物化学的酸素要求量が高くなる。

出題度

評価 :4/5。
第33回問3
第34回問10
第36回問3
第37回問3

過去5年間において第35回以外で出題されていました。

その他水道法による過去問については下の「関連過去問」から見ることができます。

水道について

水道法とは?

水道法とは1957年(昭和32年)に成立。

「正常にして豊富低廉な水の供給を図り、もって公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与すること」を目的とする。

日本国憲法の第25条、生存権に由来するものである。

主な水質基準
項目基準値
一般細菌100CUF/mL以下
大腸菌検出されないこと
水銀及びその化合物0.0005mg/L以下
総トリハロメタン0.1mg/L以下
放射線セシウム10Bq/kg以下
pH5.8~8.6
水道の普及率

令和2年度において上水道の普及率は98.1%であり、東京都、大阪府、沖縄県においては100%に達している。

また下水道に関しては令和3年度末時点で普及率が80.6%

水道水の普及率の高さと水道水をそのまま飲むことができる点(※水道水をそのまま飲むことができる国は約14か国しかありません。)を考えると、世界においても水道の品質はトップレベルと言えます。

水道法関連の過去問

第33回 問3

(問題)

水道水の水質基準において、「検出されないこと」とされているものである。

正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)一般細菌

(2)大腸菌

(3)水銀

(4)放射性セシウム

(5)トリハロメタン

(解答) 2


(解説)

(1)一般細菌は基準値が100CUF/mL以下である。

(3)水銀は基準値が0.0005mg/L以下である。

(4)放射性セシウムは基準値が10Bq/kgである。

(5)トリハロメタンは基準値が0.1mg/L以下である。

第34回 問10

(問題)

上・下水道および水質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)急速ろ過法では、薬品は用いられない。

(2)末端の給水栓では、消毒に用いられた塩素が残留してはならない。

(3)水道水の水質基準では、一般細菌は検出されてはならない。

(4)活性汚泥法は、嫌気性微生物による下水道処理法である。

(5)生物化学的酸素要求量が高いほど、水質は汚濁している。

(解答) 5


(解説)

生物化学的酸素要求量(BOD)とは生物化学的酸素消費量とも呼ばれ、水中に含まれる有機物を酸化分解するために必要とされる酸素の量のこと。

分解する酸素の量が多いということは、それだけ水中に有機物がたくさんいると解釈できる。


(解説)

(1)急速ろ過法は薬品を用いる。

急速ろ過法は水中にある細菌などを薬品で凝集・沈殿させた後、その上澄みをろ過する方法。

狭い場所でも多量の水を処理することができ、濁りの多い水の処理にも適していることから現在最も多く利用されているろ過法

(2)末端の給水栓では、塩素が残留していなくてはならない。

水道法により残留塩素は「0.1mg/L以上」保たなければならない。

(3)一般細菌においては、基準値が100CUF/mL以下である。

(4)活性汚泥法は好気性菌による下水道処理法である。

好気性菌により水中の微生物を分解する。

第36回 問3

(問題)

水道法に基づく上水道の水質基準に関する記述である。

最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)末端の給水栓では、消毒に用いた塩素が残留してはならない。

(2)生物化学的酸素要求量(BOD)についての基準値が定められている。

(3)一般細菌は、「1mLの検水で形成される集落数が100以下」となっている。

(4)総トリハロメタンは、「検出されないこと」となっている。

(5)臭気は、「無いこと」となっている。

(解答)3

水道法により定めらている。


(解説)

(1)末端の給水栓では塩素が残留しいなくてはならない。

(2)生物化学的酸素要求量の基準値は水道法においては定められていない。ただし汚水基準(水質汚濁)の指標では定められている。

(4)「検出されないこと」となっているのは大腸菌のみ。総トリハロメタンは基準値を「0.1mg/L以下」とする。

(5)臭気に関しては「異常でないこと」と明記されている。

用語解説

クリプトスポリジウムとは?

ヒトの消化管などに寄生する原虫

主に汚染された水などからの経口摂取による感染が多く世界中で感染は見られるが、特に衛生設備や下水設備が不十分な地域で流行しやすい

またその寄生虫に感染することで発症する症状をクリプトスポリジウム症と呼ばれ、10日間ほどの潜伏期間の後、下痢や腹痛、吐き気などの症状が出る

日本では1994年に雑居ビル関係者による約461名がクリプトスポリジウムに感染、1996年では小学生や町民など約88812名が集団感染感染し、ともに受水槽に汚水などが入ったことによる感染とみられる。

トリハロメタンとは?

トリハロメタンとは水源になる河川や水に含まれている有機物が、浄水時に消毒として用いられる塩素と反応してできる物質のことで「消毒副生成物」とも呼ばれる

水道水にする過程において発生する物質なので、水道水には必ずと言ってよいほど微量のトリハロメタンは含まれていることになる。

「発がん性の恐れがある」と指摘されているため、水道法において基準値が定められている。

基準値は 0.1mg/L 以下である。

まとめ

出題されるポイントのまとめとして

・水道の水質基準(値)

・水道水の基準

・何の物質に基準があって、基準値の数字はいくつだったか?

・消毒の方法

などが中心に出題されています。

何度も繰り返し解いて

しっかり覚えていきましょう!

(参考資料)

第37回管理栄養士国家試験の問題について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

関連過去問

水道法【社会・環境と健康】 | 働きながら管理栄養士を取るブログ (mii-kanrieiyoushi.com)

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