第37回 問10
(問題)
わが国の成人の肥満とメタボリックシンドロームに関する記述である。
最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)平成22年以降の国民健康・栄養調査結果では、肥満者の割合は、男女とも30歳台にピークがある。
(2)BMI35kg/㎡以上を高度肥満と定義する。
(3)メタボリックシンドロームの診断基準では、空腹時血糖値は100㎎/dL以上である。
(4)メタボリックシンドロームの診断基準には、LDLコレステロールが含まれている。
(5)特定健康診査・特定保健指導の対象者は、30~74歳である。
(解答) 2
(解説)
(1)肥満の男女別でみると男性が40代が最も多く33.0%、女性は60代が最も22.3%となっている。
(3)メタボリックシンドロームの診断基準の空腹時血糖値は110mg/dlである。
(4)診断基準にLDL-コレステロールは含まれていない
(5)特定健康診査、特定保健指導の対象者は40歳~74歳まで
この記事はこんな人に向いてます。
・管理栄養士国家試験を受ける予定の人
・管理栄養士国家試験の過去問を解いてみたい人
・肥満について詳しく知りたい人 など
肥満・メタボリックシンドロームの出題度
第37回 | 問10 |
過去5年分の問題を調べたところ、社会・環境と健康の分野において「肥満」「メタボリックシンドローム」をテーマにした問題が見当たりませんでした。
(ただし見落としがあるかもしれないので、もし見つけた場合には問題を載せて更新します)
肥満とは?
肥満とはBMI25以上を指す。またBMIが35以上になると高度肥満となる。
肥満になると様々な疾患を発症するリスクがあがります。
主に糖尿病、高血圧、脂質異常症などのリスクや睡眠時無呼吸症候群の発症リスクも上がります。
また新型コロナウイルスのリスクを高めるとも言われます。
国民健康・栄養調査では肥満の割合が20歳以上で、男性33%、女性が22.3%となっている。
また世界的に見ても世界的に肥満が急増しており、1975年からほぼ3倍に増えている。 日本だけでなく世界においても肥満は重要な課題となっている。
学会誌:日本肥満学会/JASSO (肥満治療ガイドライン 2022)
メタボリックシンドロームとは?
また40歳~74歳の男性の2人に1人、女性だと5人に1人がメタボリックシンドロームに該当すると言われています。
メタボリックシンドロームは動脈硬化や心筋梗塞などを発症する起因とされており、日常生活の改善によって予防することができます。
ではメタボリックシンドロームはどのような基準で判断しているのかが次の通りです。
メタボリックシンドロームの診断基準
必須項目 ウエスト周囲径 男性85cm 女性90cm
男性と女性のウエストの基準がなぜ違うのか?の解説は↓から読むことができます。
ウエスト周囲径とは? | 働きながら管理栄養士を取るブログ (mii-kanrieiyoushi.com)
必須項目のウエスト周囲径に加えて以下の項目のうち2つ以上該当するとメタボリックシンドロームに該当します。
①高トリグリセライド血症 または 低HDLコレステロール血症 | ≥ 150mg/dL < 40mg/dL |
②収縮期(最大)血圧 または 拡張期(最小)血圧 | ≥ 130mmHg ≥ 85mmHg |
③空腹時高血糖 | ≥ 110mg/dL |
メタボリックシンドロームに該当する人は約960万人、予備軍が980万人です。
動機付け支援と積極的支援
予防策として40歳過ぎると特定健診があります。いわゆる「メタボ検診」です。
その検診によって該当者に対して動機づけ支援や積極的支援なども行っています。
動機付け支援は、個人または集団による面談を行う。生活習慣の改善や目標を立て、改善に向けて6か月後を目安に評価をする。
積極的支援は、面談後、3か月~6か月を目安に継続的なサポートと指導のもと目標に向けて改善を行っていく。
動機付け支援、積極的支援はメタボリックシンドロームの診断基準に基づいた結果により判断される。
まとめ
・肥満の基準はBMI25以上
・特定健診のウエスト周囲径は男性85cm、女性90cm
・肥満、メタボリックシンドローム共に生活習慣の改善によって予防することが可能である。
・メタボリックシンドロームでは該当する内容により動機付け支援と積極的支援によって生活習慣のサポートを受けることができる。
参考資料
第37回管理栄養士国家試験の問題および正答について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
メタボリックシンドローム該当者・予備群の状況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
世界肥満デー 世界の20億人が肥満か過体重 2025年までに世界の成人の5人に1人が肥満に | ニュース | 一般社団法人 日本肥満症予防協会 (himan.jp)
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