第37回管理栄養士国家試験 問8 【飲酒】

社会 環境と健康
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第37回 問8

(問題)

飲酒に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)健康日本21(第二次)では、「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を、1日当たりの純アルコール量で男女とも40g以上としている。

(2)健康日本21(第二次)では、妊娠中に飲酒するものをなくすことを目標としている。

(3)アルコール依存症の発症リスクは、飲酒開始年齢と関係がない。

(4)1日平均飲酒量が増加するほど、血圧が低下する。

(5)アルコールには、身体依存はない。

(解答) 2


(解説)

(1)生活習慣病のリスクを高める飲酒量として男性が純アルコール40g以上、女性が20g以上と設定されています。

(3)飲酒開始年齢が低ければ低いほど依存リスクが高い。

(4)1日平均飲酒量が増加するほど、血圧が上昇する。

(5)アルコールには、身体依存がある。

飲酒に関する出題度

評価 :2/5。
第32回問8
第37回問8
過去5年分

この記事はこんな人に向いてます。

・管理栄養士国家試験を受験する人

・管理栄養士国家試験の過去問を解いてみたい人

・飲酒の適正量とリスクなどについて知りたい方 など

適切な飲酒とは?

みなさんは飲酒に対してどのようなイメージを持ちますか?

普段お酒を飲まない方は「飲酒」そのものについてあまり良いイメージを持たない方もいると思います。

健康日本21では「節度のある適度な飲酒」とあるように決して飲酒そのものが悪いものではありません。

適切な飲酒量、飲酒のリスク、などをしっかり理解することで飲酒そのものを楽しむことができます。

目安量とは?

「健康日本21」によると1日平均、純アルコールで約20g程度が目安となっています。

純アルコールで20gってどれくらい?

たしかに「純アルコール20g」と言われてもピンときませんね。

目安を簡単にまとめてみました。

純アルコール20gの目安量

種類目安量
ビール中ビン1本または500ml缶1本
日本酒1合(約180ml)
チューハイ350ml缶1本
ワインワイングラス2杯(約200g)

そういっても基準値を普段から覚えるのはむずかしいですよね。

政府は21年3月より酒類業界に対して缶などに記載されている栄養成分表示にアルコール度数だけでなく、純アルコール量(g)の記載も求めました。

缶のお酒を飲む機会があればぜひ見ておくと良いでしょう!

また、「生活習慣病のリスクが高まる」として1日あたりの純アルコール量を男性40g以上、女性を20gに設定しています。

男性より女性の方がアルコールの分解速度が遅いため、女性の方が設定量が低くなっています。

飲酒のメリット・デメリット

適切な飲酒量を知ったうえで、飲酒のメリット・デメリットについてもう少し詳しく見ていきましょう!

まずは飲酒のメリットとして

緊張をほぐしたり、ストレスを軽減するなどが挙げられます。

また食欲増進や血行の促進などもあります。

ただ一方で飲酒そのものについてあまり良いイメージを持たない人もいます。

良いイメージを持たない理由として「病気へのリスク」と「依存」が考えられるからだと思います。

この「病気へのリスク」と「依存」は飲酒のデメリットにあたります。

主な病気へのリスク

肝臓アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変など
膵臓慢性膵炎、糖尿病
循環器疾患高血圧、
その他骨粗鬆症、睡眠障害、うつなど

また飲酒による依存は「アルコール依存症」と呼ばれます。

症状としては体内のアルコール濃度が下がることで、情緒障害や手の震えや幻覚などが起こります。

そしてアルコール依存症は本人だけでなく家族や知人など身の周りの人を巻き込んだり、仕事への悪影響を及ぼすこともあります。

アルコール依存症のリスクは男女関係なく、飲酒開始年齢が低ければ低いほどリスクが高い傾向があります。

上記が主なアルコールのメリットとデメリットです。

ではメリット、デメリットを学んだうえで過去問をしてみましょう!

飲酒に関する過去問

第32回 問8

(問題)

飲酒に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)長期にわたる多量飲酒は、骨粗鬆症のリスク因子である。

(2)適正飲酒はHDL-コレステロール値を低下させる。

(3)アルコール依存症の発症リスクは、飲酒開始年齢と関係がない。

(4)総死亡の相対危険は、飲酒量がゼロの時に最も低い。

(5)飲酒した未成年者は、未成年者飲酒禁止法により罰せられる。

(解答)1


(解説)

(2)適正飲酒はHDL-コレステロール値を上昇させる。

(3)アルコール依存症の発症リスクは、飲酒開始年齢が低いほど高くなる。

(4)飲酒量がゼロよりも、「節度ある適度な飲酒量」の方が総死亡の相対危険が低いとされている。(Jカーブ効果)

(5)未成年者飲酒法は、未成年者に対し酒類を提供した保護者等の成人や販売(提供)店舗、その関係者等がが罰せられる法律であり、未成年者本人が罰せられる法律ではない。

用語解説

Jカーブ効果とは?

Jカーブ効果とは、まったく飲酒をしない人に比べて少量の飲酒をしている人の方が高血圧や心疾患などの発症リスクが低いという研究結果のこと。

この研究結果は1980年代から先進国で疫学調査が行われており、その結果をグラフとしてあらわしたものがアルファベットの「J」の形に似ていることろから「Jカーブ」と呼ばれるようになりました。

未成年者飲酒禁止法

未成年者飲酒禁止法は、大正11(1922)年に制定される。

満20歳未満の未成年者の飲酒を禁止した法律で、未成年者本人に罰則するのではなく、未成年者にお酒を販売又は提供した保護者や監督者、販売店などが罰則の対象となります。

違反した場合は50万円以下の罰金が課せられます。

まとめ

・適切な飲酒量は1日あたり純アルコールで約20g

・生活習慣病のリスクを高める飲酒量は1日あたり男性が純アルコール40g以上、女性が20g以上

・アルコール依存症は飲酒開始年齢が低いほど発症リスクが高い

・未成年者飲酒禁止法は戦前からあった

新型コロナによる行動制限も解除し、お酒を外で飲む機会が増えてくると思います。

また飲酒には個人差があります。適度な量であっても酔いが回ったり気分が悪くなることもあります。

各個人で楽しめる範囲で飲みましょう!

参考資料

第37回管理栄養士国家試験の問題について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

飲酒 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

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