第37回管理栄養士国家試験 問40 【免疫・アレルギー】

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
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第37回 問40

(問題)

免疫及びアレルギーに関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)抗体は、マクロファージにより産生される。

(2)分泌型IgAは、消化管の免疫を担う。

(3)自己免疫性溶血性貧血は、Ⅰ型アレルギーの機序で起こる。

(4)ツベルクリン反応は、Ⅲ型アレルギーの機序で起こる。

(5)アナフィラキシーショックは、Ⅳ型アレルギーにより発症する。

(解答)2


(解説)

(1) 抗体はB細胞によって産生される。

(3) 自己免疫性溶血性貧血はⅡ型アレルギーの機序で起こる。

(4) ツベルクリン反応は、Ⅳ型アレルギーの機序で起こる。

(5) アナフィラキシーショックはⅠ型アレルギーにより発症する。

免疫について

※アレルギーに関しては、問41で食物アレルギーの問題が出題されているため、このページでは免疫にについて掲載しています。また自己免疫疾患を問う問題は省略しています。

免疫とは?

細菌やウイルス等が体内に入らないように守ったり、侵入した時には体の外に排除するなどして体を守るなど、生理的に備わっている防御システムのことをいいます。

免疫には非特異的免疫(自然免疫)と特異的免疫(獲得免疫)があります。

非特異的免疫(自然免疫)は、体内にもとから備わっている免疫のことで、侵入してくる異物に対して素早く反応します。素早く反応する分、攻撃する相手を選ばないのが特徴です。

主に好中球、NK細胞、マクロファージが行っています。

特異的免疫(獲得免疫)は、体内に侵入した異物から特定のものだけを攻撃し、排除する役割を持ちます。非特異的免疫に比べて反応は遅いものの、免疫記憶を持っており一度侵入した異物が再度侵入しようとすると前回より早く免疫機能が働くという特徴があります。

主にT細胞、B細胞、マクロファージがその役割を担っています。

また免疫には母体経由など自分以外の個体から生成された抗体によって得られる免疫を受動免疫、ワクチンなど病原体を侵入させることで体内で抗体を産生させて得る免疫の能動免疫があります。

免疫に関する出題度

評価 :5/5。
第33回問42
第34回問40
第35回問40
第36回問40
第37回問40
過去5年分

第33回 問42

(問題)

免疫グロブリンに関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)1本のH鎖と1本のL鎖から構成される。

(2)液性免疫を担当する。

(3)血中に最も多く存在するのは、IgEである。

(4)母乳中に最も多く存在するのは、IgMである。

(5)IgAは、胎盤を通過する。

(解答) 2


(解説)

(1) 2本のH鎖と2本のL鎖から成り立つ。

(3)血中に最も多いのはIgGである。

(4)母乳に最も多く存在するのはIgAである。

(5)IgAは胎盤を通過しない。胎盤を通過するのはIgGである。

 ※IgGが胎盤を通過することができるのは、分子量が一番小さいためである。

第34回 問40

(問題)

免疫と生体防御に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)溶液性貧血は、Ⅲ型アレルギーの機序で起こる。

(2)ツベルクリン反応は、Ⅱ型アレルギーの機序で起こる。

(3)形質細胞は、液性免疫を担う。

(4)IgAは、免疫グロブリンの中で最も血中濃度が高い。

(5)IgGは、5量体である。

(解答) 3


(1)溶血性貧血はⅡ型アレルギーの機序で起こる。

(2)ツベルクリン反応はⅣ型アレルギーの機序で起こる。

(4)免疫グロブリンの中で最も血中濃度が高いのはIgGである。

(5)IgMは、5量体である。

第35回 問40

(問題)

免疫・生体防御に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)唾液は、分泌型IgAを含む。

(2)B細胞は、胸腺で成熟する。

(3)T細胞は、免疫グロブリンを産生する。

(4)アナフィラキシーショックは、IgGが関与する。

(5)ワクチン接種による免疫は、受動免疫である。

(解答)1


(解説)

(2)B細胞は骨髄で成熟する。 ちなみに胸腺で成熟いするのはT細胞である。

(3)免疫グロブリンを産生するのはB細胞である。

(4)アナフィラキシーショックにはIgEが関与する。

(5)ワクチン接種は能動免疫である。

第36回 問40

(問題)

免疫に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)消化管粘膜には、非特異的防御機構が認められる。

(2)IgGによる免疫は、非特異的防御機構である。

(3)IgAは、Ⅰ型アレルギーに関与する。

(4)IgMは、胎盤を通過する。

(5)血漿中に最も多く存在する抗体はIgEである。

(解答)1


(解説)

(2)IgGによる免疫は、特異的防御機構である。

(3)Ⅰ型アレルギーに関与するのはIgEである。

(4)胎盤を通過するのはIgGである。

(5)血漿中に最も多く存在するのはIgGである。

補足(受動免疫と能動免疫)

第35回、問40より受動免疫を問う問題があったため、少しだけ受動免疫と能動免疫の解説をします。

受動免疫は自分以外の個体から生成された抗体によって得る免疫のことを指し、例として母乳によって得る抗体などがあります。

一方能動免疫は病原体などを体内に侵入させることにより、個体内で抗体を産生することによって得られる免疫をいいます。代表的な例としてはワクチン接種です。

よって受動免疫と能動免疫では「個体で抗体を作るのか作らないのか」が大きな違いとなります。

資料

第37回管理栄養士国家試験の問題および正答について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

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