第37回 問4
ある年のA地域とB地域における年齢階級別(15~49歳)の女性の人口と出生の状況を表に示した。
両地域の比較に関して、この表から読み取れる内容である。
(1)A地域で15~19歳と20~24歳の出生率が高いのは、子育てしやすい環境による。
(2)B地域で40~44歳と45~49歳の出生率が高いのは、晩婚化の影響による。
(3)総裁生産率はA地域で高い。
(4)純再生産率は、A地域で高い。
(5)合計特殊出生率は、B地域で高い。

(図は厚労省の第37回管理栄養士国家試験問題より引用)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17056.html
(解答) 5
合計特殊出生率は15歳~49歳の女性の年齢別出生率を合計したもので、問題の表から読み取ることができる。
A地域では1.211 B地域では1.318 なのでB地域の方が合計特殊出生率が高い。
(解説)
(1)15歳~19歳、20歳~24歳それぞれ子育てしやすい環境なのかどうか資料から読み取ることができない。
(2)40歳~44歳、45歳~49歳の出生率の高さが晩婚化の影響になっているものなのかどうかは、資料から読み取ることができない。
(3)総裁生産率を出すには出生時の女児の数が必要なので表から総裁生産率を出すのは難しい。
(4)純再生産率も出すには女児の数を必要とするため、表から純再生産率を出すのは難しい。
出題度
過去5年間において同じような問題が出題されているのは見当たりませんでした。
人口動態統計と人口静態統計
人口動態統計とは?
人口動態統計とは厚生労働省が管轄する一定期間内に発生した人口の変動を統計にしてまとめたもの。
- 出産
- 死亡
- 婚姻
- 離婚
- 死産
上記5種類の調査内容の人口変動を把握し厚生労働行政の基礎資料を得ることを目的としている。
調査は毎年行い、これらの調査結果は出生率や死亡率、再生産率、婚姻率などを求めるのに利用される。
人口静態統計とは?
人口動態統計と比較されがちなのが人口静態統計ですが
人口静態統計は総務省が管轄する調査で、5年に1度行われる国勢調査がこれにあたります。
人口動態統計が年間を通して調査をするに対し、人口静態統計は5年に1度、10月1日時点での調査を行っています。
人口構成や人口密度、完全生命表などを作成するときに人口静態統計は利用されます。
比較をしてみよう
人口動態統計 | 人口静態統計(国勢調査) | |
(国税管轄 | 厚生労働省 | 総務省 |
調査 | 1年通して | 5年に1度 10月1日時点 |
調査内容 | 出生、死亡、死産、婚姻、離婚 | 個人調査と世帯調査(世帯構成、国籍、職業、収入など) |
表に表してみると人口動態統計と人口静態統計では、管轄や調査期間、目的がすべて違うものであることが見てわかります。

人口動態統計と人口静態統計
名前が似ているので気を付けましょう!
用語解説
主に人口動態統計等で使用される用語などをまとめました。
出生 | 人口増減で用いられる 令和4年度は79万9728人で統計以来初の80万人を下回る。 |
合計特殊出生率 | 合計特殊出生率は15歳~49歳の女性の年齢別出生率を合計したもの 令和4年度では1.30の公算だったが実際は1.27となる。 |
総再生産率 | 合計特殊出生率から出生数を女児の数だけにしたもの |
純再生産率 | 総再生産率からさらに母親の死亡率を考慮した時の平均の女児の出生数 数値が1を下回ると人口が将来的に減少するとされる。 2020年時点で0.64となった 死亡率を考慮した母親が産む女子の数の割合。 |
近年の人口動態傾向 まとめ
・少子高齢化がより一層加速することが懸念されている。
・出生数に関しては2022年に80万人を下回り統計開始以来の最少人数を記録。
・当初80万人を下回るのは2033年ごろを予測していたものの2022年時点ですでに80万人を下回ってしまった。予定より約11年早い。
・そのため急速な少子化が見込まれている。
・また高齢化による死亡率の増加により日本の人口そのものが減少傾向となる。

政府による少子化対策が話題となってます
日本が少子化に向かっている事がわかるのも、これらの調査に基づいているからなのです!
コメント