第37回管理栄養士国家試験 問31【腎・尿路系】

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
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第37回 問31

(問題)

腎・尿路系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)赤血球は、糸球体基底膜を通過する。

(2)1日当たりの糸球体ろ過量は、約1.5Lである。

(3)eGFRの算出には、24時間畜尿が必要である。

(4)尿のpHの変動は、血液のpHの変動より大きい。

(5)レニンの分泌は、循環血漿量が減少すると抑制される。

(解答)4


(解説)

(1)赤血球は糸球体を通過しない。

(2)1日当たりの糸球体ろ過量は150L 1.5Lは1日当たりの実際に出る尿の目安量。

(3)eGFRは血清クレアチニン値と年齢、性別から算出できます。

(5)レニンの分泌は、循環血漿量が減少すると促進する。

※レニンは分泌すると血圧が上昇します。循環血漿量が少ない=血圧が低い状態と判断し、レニンを分泌させて血圧をあげます。

腎・尿路系とは?

腎臓の働きとは

腎臓の主な働きとしてまず思い浮かべるのは尿の生成ではないでしょうか?

尿の生成はもちろんのこと、腎臓にはそれ以外の重要な役割を担っています。

・尿の生成・・・成人1日あたり約15Lが尿として排出される。

・血圧の調整・・・傍糸球体細胞よりレニンを分泌させることによって血圧を行う。

・酸塩基平衡・・・pHの調整を行いバランスを保つ。

・赤血球の生成に関与・・・腎臓に存在するエリスロポエチンというホルモンが赤血球の生成に関与している。

などが挙げられます。

尿路ついて

腎臓でろ過された原尿が膀胱までの間に栄養分や水分が吸収されながら通過する管のことで尿細管といわれる。

成人1日あたり約150Lの水分(血液)が糸球体を通過するが、実際に尿として体に排出されるのは約15Lであり、原尿の99%は再吸収されている。

その他 部位と働き
部位働き
糸球体血液中の老廃物をろ過する(原尿)
※糸球体を通過する血液は動脈血である
ボーマン嚢糸球体を包むような形で存在しており、ろ過された原尿を尿細管へ送る働きを持つ
尿細管糸球体でろ過された原尿が膀胱まで通る管
ここでろ過された栄養分や水分などが再吸収される
ネフロン糸球体とボーマン嚢と尿細管の総称
集合管はネフロンには含まない
集合管遠位尿細管からつながる尿を排出する経路となるところ。

糸球体でろ過されるもの、ろ過されないものをまとめてみました

ろ過されるもの老廃物、アミノ酸、ブドウ糖、ナトリウム、リン、マグネシウムなど
ろ過されないもの赤血球 たんぱく質
補足 「尿たんぱく」は糸球体に何らかの異常があり、本来ろ過されないたんぱく質がろ過され尿として排出されることによって起こる現象

腎・尿路系に関する出題度

評価 :5/5。
第33回問34
第34回問30
第35回問31
第36回問32
第37回問31
過去5年分

第33回 問34

(問題)

腎・尿路系疾患に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)急激な腎血流量減少は、腎前性急性腎不全の原因になる。

(2)糖尿病腎症の第4期は、たんぱく尿の出現で判定される。

(3)慢性腎不全では、低リン血症がみられる。

(4)腎代替療法のうち最も多いのは、腎移植である。

(5)無尿は、透析導入の必須項目である。

(解答)1


(解説)

(2)蛋白尿の出現は2期の段階から出ている。

(3)慢性腎不全では、高リン血症が見られる。

 ※腎臓の機能低下によりリンの排出が難しいため、リンが血中に蓄積し「高リン血症」となる

(4)腎代替療法のうち最も多いのは透析である。

(5)無尿は必須項目ではない。 

第34回 問30

(問題)

腎・尿路系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)集合管は、ネフロンに含まれる。

(2)アンジオテンシンⅡは、アルドステロンの分泌を抑制する。

(3)アルドステロンは、腎実質から分泌される。

(4)バソプレシンの分泌は、血漿浸透圧の上昇により減少する。

(5)心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウム排泄を促進する。

(解答)5


(解説)

(1)集合管はネフロンに含まない。

(2)アンジオテンシンⅡはアンジオテンシンの分泌を促進する。

(3)アルドステロンは副腎から分泌される。

(4)バソプレシンは、血漿浸透圧の上昇により促進する。

第35回 問31

(問題)

腎・尿路系の構造と機能に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)糸球体を流れる血液は、静脈血である。

(2)ボーマン嚢は、糸球体の中にある。

(3)尿細管は、腎盂から膀胱までの尿路にある。

(4)原尿は、膀胱にたまる尿である。

(5)尿の浸透圧の変動は、血漿の浸透圧の変動より大きい。

(解答)5


(解説)

(1)糸球体を流れるのは動脈血である。

(2)ボーマン嚢は糸球体を包むような形で存在する。

(3)尿細管は腎盂から膀胱までの間にある。

(4)膀胱には原尿は溜まらない。

原尿は糸球体を通ってまだ栄養素が残っている状態のもの。

尿はその原尿が尿細管を通る過程で水分や栄養分を吸収された後の体に排出する状態のもの。

実際に尿として排出するのは原尿の約1%に過ぎないとされている。(残りの99%は再吸収されている)

なので膀胱にたまるのは原尿ではなく尿である。

第36回 問32

(問題)

腎臓に作用するホルモンに関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)バソプレシンは、水の再吸収を抑制する。

(2)カルシトニンは、カルシウムの再吸収を促進する。

(3)副甲状腺ホルモン(PTH)は、カルシウムの再吸収を促進する。

(4)心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、ナトリウムの再吸収を促進する。

(5)アルドステロンは、カリウムの再吸収を促進する。

(解答) 3


(解説)

(1)バソプレシンは、水の再吸収を促進する。

(2)カルシトニンはカルシウムの再吸収を抑制する。

(4)心房性ナトリウム利尿ペプチドはナトリウムの再吸収を抑制する。

(5)アルドステロンは、カリウムの排泄を促進する。

まとめ

・腎臓は尿の生成、血圧の調整、pHの調整、赤血球の生成の関与などを行っている。

・糸球体を流れる血液は動脈血である

・集合管はネフロンに含まない

参考資料

第37回管理栄養士国家試験の問題および正答について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

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