第37回管理栄養士国家試験 問28【肝疾患】

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
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第37回 問28

(問題)

肝疾患の検査に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)アルコール性肝炎では、血清ɤーGT値は、低下する。

(2)ウイルス性慢性肝炎は、B型肝炎ウイルスによるものが最も多い。

(3)肝硬変では、血清コリンエステラーゼ値は上昇する。

(4)非代償期の肝硬変では、血液中のBCAA値が上昇する。

(5)NASHの確定診断には、肝生体が必要である。

(解答)5


(解説)

(1)アルコール性肝炎ではɤーGT値は上昇する。

(2)ウイルス性慢性肝炎はC型が最も多い。

(3)肝硬変では血清コリンエステラーゼ値は低下する。

(4)非代償期ではBCAA値が低下する。

肝疾患とは?

肝臓の主な働きとして

・たんぱく質の合成

・栄養の貯蔵

・アンモニアなどの有害物質の解毒

・胆汁の合成と分泌

などが挙げられます。

肝疾患とは、主に肝臓で機能していた上記の働きができなくなることを指すと言ってよいでしょう。

今回は肝硬変以外の肝疾患について取り上げていきたいと思います。

急性肝炎と慢性肝炎

急性肝炎とは、短期的に肝臓に炎症が起こる状態をいいます。主にウイルスが原因とされているが、原因不明のものも多い。

多くの場合は予後が良好であるが、一部で劇症肝炎を起こす場合もある。

C型肝炎以外は基本的には自然と治ることが多い。

慢性肝炎とは、肝臓の炎症が6か月以上続いている状態を指します。この慢性肝炎を放置すると将来的に肝硬変や肝がんなどのリスクが上昇します。

慢性肝炎はウイルス性とアルコールや食生活などの生活習慣からくる慢性肝炎があり、ウイルス性では主にC型が多く、次いでB型が多くなっています。

生活習慣からくる慢性肝炎は主にアルコールの摂取や食生活からくる脂肪肝が原因です。

脂肪肝はメタボリックシンドロームと診断される人に多いといわれています。

次に肝機能等の過去問・問題集などでよく見かける劇症肝炎、プロトロンビン時間、肝性脳症についての説明です。

劇症肝炎とは?

急性肝炎の発症から急激に悪化し突然肝機能が働かなくなる疾患。

B型肝炎ウイルスが原因とするものが約40%を占める。

発症から8週間以内に黄疸や肝性脳症などを引き起こし、急性肝炎の患者の約1%が劇症肝炎に移行するといわれています。

プロトロンビン時間とは?

プロトロンビン時間とは血液が採取してから凝固するまでの時間の働きを調べたもの。

肝疾患ではたんぱく質の合成が低下することから血液の凝固因子が減少するため、採取した血液が固まるのに時間がかかってしまいます。

この時間がかかることをプロトロンビン時間の延長と表現します。

肝性脳症とは?

肝疾患により肝臓の解毒作用が低下しアンモニアが代謝できなくなると、その代謝できなくなった毒素が体内に留まることにより意識障害などを起こしたりする状況。昏睡状態に陥ることもある。

肝硬変や劇症肝炎、肝がんなどに見られる。

肝疾患に関する出題度

評価 :1/5。
第37回問28
過去5年分

※過去5年分で「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」から出題される肝疾患に関する問題は見当たりませんでしたが、それ以前の問題では第31回の問31で出題されています。

第31回 問31

(問題)

肝障害に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)B型肝炎ウイルスは、RNAウイルスである。

(2)E型肝炎ウイルスは、主に血液を介して伝播する。

(3)劇症肝炎では、意識障害を認める。

(4)肝硬変では、プロトロンビン時間が短縮する。

(5)非アルコール性脂肪肝炎(NASH)では、肝線維化を認めない。

(解答)3


(解説)

(1)B型肝炎ウイルスはDNAウイルスである。

(2)E型肝炎ウイルスは経口感染である。

(4)肝硬変ではプロトロンビン時間が延長する。

(5)非アルコール性脂肪肝炎では、線維化を認める。

まとめ

・肝疾患とは肝臓の主な働きでもある、たんぱく質の合成、栄養の貯蔵、アンモニアなどの有害物質の解毒、胆汁の合成と分泌の機能が低下した状態をいう。

・急性肝炎は短期間の炎症、慢性肝炎は約6か月以上肝臓の炎症が続いた場合とされる。

・肝疾患によるプロトロンビン時間の延長は、肝機能の低下による血液凝固のたんぱく質が減少することから起こる。

参考資料

第37回管理栄養士国家試験の問題および正答について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

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