第37回 問23
(問題)
疾患に伴う変化に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)壊死は、炎症を引き起こす。
(2)急性炎症では、血管の透過性は低下する。
(3)腸上皮化生は、小腸でみられる。
(4)播種は、良性腫瘍の進展様式である。
(5)植物状態では、脳幹の機能が失われている。
(解答)1
(解説)
(2)急性炎症では、血管の透過性が亢進する。
(3)腸上皮化生は胃でみられる。
(4)播種は、悪性腫瘍の進展様式である。
(5)脳幹の機能が失われるのは、脳死である。
※補足※
腸上皮化生とは上皮組織が変質したもので、胃がピロリ菌などにより腸に似た組織に変化したもの。

ピロリ菌は経口感染や衛生環境から感染するといわれています。
ピロリ菌が存在すると胃がんのリスクが上がると言われているのは「腸上皮化生」になるからかもしれませんね。
ピロリ菌は内視鏡だけでなく血液検査などで調べることもできます。
炎症とは?
整体に対する刺激や侵襲によって生じる局所的反応の一種(Wikipediaより)で、急性炎症と慢性炎症があります。
急性炎症は短時間で治るものを言い、慢性炎症は長期間かかるものをいいます。
炎症には腫脹(腫れ)、疼痛(痛み)、発赤、発熱があり、これらを「炎症の4徴候」といいます。
また炎症の4徴候に「機能障害」を加えたものを「炎症の5徴候」(ガレノスの5徴候)といいます。
炎症・疾患と症徴に関する出題度
第34回 | 問25 |
第35回 | 問23 |
第36回 | 問23、24 |
第37回 | 問23 |
人体の構造と機能及び疾病の成り立ちから出題されている「炎症・疾患・症徴」です。
ほぼ毎年出題されています。
第34回 問25
(問題)
症徴に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)浮腫は、血漿膠質浸透圧の上昇により出現する。
(2)鮮血便は、上部消化管からの出血により出現する。
(3)腹水は右心不全により出現する。
(4)吐血は、呼吸器からの出血である。
(5)JCS(Jalan Coma Scale)は、認知機能の指標である。
(解答)3
(解説)
(1)浮腫は、血漿膠質浸透圧の低下により出現する。
(2)鮮血便は、下部消化管からの出血により出現する。
(4)吐血は、消化管からの出血により出現する。
(5)JCSは意識レベルの指標である。
※補足※
鮮血便→下部消化管からの出血
黒色便(タール便)→上部消化管

上部消化管から出血するとなぜ黒色便がでるのか?
それは肛門から遠いところで出血をすると肛門までの間にヘモグロビンがが酸化し、
硫化ヘモグロビンに変わるから!なので色が黒く変化します。
第35回 問23
(問題)
炎症と腫瘍に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)急性炎症では、血管透過性は低下する。
(2)慢性炎症で見られる湿潤細胞は、主に好中球である。
(3)肉芽細胞は、組織の修復過程で形成される。
(4)良性腫瘍は、悪性腫瘍と比べて細胞の分化度が低い。
(5)肉腫は、上皮性の悪性腫瘍である。
(解答)3
(解説)
(1)急性炎症では、血管の透過性が亢進する。
(2)慢性炎症で見られる湿潤細胞はリンパ球やマクロファージ。好中球は急性炎症でみられる。
(4)良性腫瘍は悪性腫瘍に比べて分化度が高い。
(5)肉腫は非上皮性の悪性腫瘍である。
※補足※
血管の透過性とは?
血管とその周辺の組織の間で行われる水分や栄養分(血漿やたんぱく質など)の移動のことをいいます。
ではその血管の透過性が亢進するとはどういうことなのか?
炎症を起こすと毛細血管が拡張し、血管内にある血漿やたんぱく質などが滲出する(他の組織へ移動する)状態。
この状態を亢進といいます。
そして、その亢進により疼痛(痛み)や腫脹(腫れ)が引き起こされます。
第36回 問23
(問題)
(1)肥大は、炎症の徴候に含まれる。
(2)線維化は、炎症の慢性期より急性期で著しい。
(3)肉芽腫は、良性腫瘍である。
(4)肉腫は、上皮性腫瘍である。
(5)悪性腫瘍は、湿潤性に増殖する。
(解答)5
(解説)
(1)肥大は炎症の症徴に含まれていない。
(2)線維化は慢性期で著しい。
(3)肉芽腫は慢性的な炎症によって生じるもので、腫瘍ではない。
(4)肉腫は非上皮性腫瘍である。
第36回 問24
(問題)
症候に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)ショックでは、血圧が上昇している。
(2)JSC(Japan Coma Scale)は、呼吸機能の指標である。
(3)チアノーゼは、血中還元ヘモグロビン濃度が低下した時にみられる。
(4)吐血は、気道からの出血である。
(5)黄疸は、血中ビリルビン濃度の上昇による。
(解答)5
(解説)
(1)ショックでは血圧が低下している。
(2)JSCは意識レベルの指標である。
(3)チアノーゼは、血中還元ヘモグロビン濃度が上昇した時に見られる。
(4)吐血は消化管からの出血である。 気道からの出血は喀血である。
まとめ
・ 炎症は急性と慢性がある。
・炎症の腫脹・疼痛・発赤・発熱の4つの症状を「炎症の4徴候」といい、それに意識障害が加わったものを「炎症の5徴候」という。
・炎症の急性期では血管の透過性が亢進する。
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