第37回管理栄養士国家試験 問22【酸塩基平衡】

人体の構造と機能及び疾病の成り立ち
スポンサーリンク
スポンサーリンク

第37回 問22

酸塩基平衡に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)血液のpHは、7.0±0.05に維持されている。

(2)呼吸性アシドーシスでは、腎臓から水素イオン(H⁺)の排泄が促進される。

(3)代謝性アシドーシスでは、呼吸数が減少する。

(4)腎機能が低下すると、腎臓での重炭酸イオンの再吸収が促進される。

(5)ケトン体が増加すると、代謝性アルカローシスになる。

(解答)2


(解説)

(1)血液のpHは7.35~7.45に維持されている。

(3)呼吸数の減少は呼吸性アシドーシス

(4)腎機能が低下すると重炭酸イオンの再級数が低下する。

(5)ケトン体の増加は代謝性アシドーシスになる。

酸塩基平衡とは?

酸塩基平衡とは体内で酸性とアルカリ性のバランスを保つ働きのことをいい、そのバランスは主に肺や腎臓で行われています。

値はpHを用い、pHは0(強酸性)~14(強アルカリ性)までの範囲で示し、pH7が中性になります。

ヒトの血液はpH7.35~7.45で維持されているのでややアルカリ性ということになります。

この酸塩基平衡で重要になってくるのは水素イオン(酸性)と重炭酸イオン(アルカリ性)

例えば水素イオンが増加し、重炭酸イオンが減少した状態になると体は酸性に傾きます。

逆に水素イオンが減少し、重炭酸イオンが増加するとアルカリ性(塩基)に傾きます。

つまり血中のpHが何らかの形で維持できず酸性の方に傾いてしまうことをアシドーシス

また、アルカリ性の方に傾くことをアルカローシスと言います。

アシドーシス、アルカローシス共に症状によって代謝性と呼吸性があります。

代謝性呼吸性
アシドーシス腎不全
糖尿病
下痢 など
閉塞性肺障害
睡眠時無呼吸症候群 など
アルカローシス嘔吐
原発性アルドステロン症 など
過換気症候群
【補足】腎不全によるアシドーシス

腎不全では腎機能の低下により体にある老廃物が排出できない状態になります。

老廃物である酸が体に蓄積する状態になりアシドーシスとなります。

【補足】糖尿病ケトアシドーシス

糖尿病のアシドーシスはケトアシドーシスといわれ、主にⅠ型糖尿病で見られます。

インスリンの不足により血中の糖分を取り込むことができず、結果脂肪などを分解してエネルギーを作りだしてしまいます。

そのため高血糖や代謝によるケトン体の生成が起こります。このケトン体が酸性のため、(ケト)アシドーシスとなります。

その他補足

・嘔吐によるアルカローシス・・・嘔吐をすることにより体にある酸が吐き出され、体がアルカリ性に傾く

・過換気症候群のアルカローシス・・・過呼吸により過剰に二酸化炭素を吐き出してしまうことでアルカリ性に傾く状態

酸塩基平衡に関する出題度

評価 :1/5。
第37回問22
過去5年分

過去5年分においては酸塩基平衡に関する問題が見当たりませんが、過去10年間分を遡ると第29回の問29で出題がありました。

第29回 問29

(問題)

疾患・病態とそれらに伴う酸塩基平衡異常の組み合わせである。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)過呼吸(過換気) ー アシドーシス

(2)原発性アルドステロン症 ー アシドーシス

(3)激しい嘔吐 ー アルカローシス

(4)腎不全 ー アルカローシス

(5)コントロール不良のⅠ型糖尿病 ー アルカローシス

(解答)3


(解説)

(1)過呼吸はアルカローシス(呼吸性)

(2)原発性アルドステロン症はアルカローシス(代謝性)

(4)腎不全はアシドーシス(代謝性)

(5)コントロール不良のⅠ型糖尿病はアシドーシス(代謝性)

まとめ

・酸塩基平衡は主に肺と腎臓でバランスを保っている。

・血液は常にpH7.35~7.45で維持されている。

・体が酸性に傾くことをアシドーシス、アルカリ性に傾くことをアルカローシスという。

参考資料

第37回管理栄養士国家試験の問題および正答について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

コメント