第37回 問13
(問題)
わが国の社会保障における4つの柱(社会保険、社会福祉、公的扶助、保健医療・公衆衛生)に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)予防接種を行うのは、保健医療・公衆衛生である。
(2)高齢者に年金を給付するのは、社会福祉である。
(3)生活保護は、社会保険である。
(4)社会的弱者を養護育成するのは、公的扶助である。
(5)医療機関での現物給付を行うのは、社会福祉である。
(解答)1
(解説)
(2)高齢者に年金を支給するのは社会保険である。
(3)生活保護は公的扶助である。
(4)社会的弱者を養護育成するのは、社会福祉である。
(5)医療保険の現物給付を行うのは社会保険である。
社会保障・医療保険制度に関する出題度
第33回 | 問11、12 |
第34回 | 問13、14 |
第35回 | 問12 |
第37回 | 問13 |
社会保障に関連した過去問が第33回、34回では2問出題されています。
社会保障とは?
社会保障とは社会保険、社会福祉、公的扶助、公衆衛生の4つからなる国民の「安心」や生活の「安定」を支える仕組みのことをいいます。
例えばケガや病気などによって仕事がなくなり生活が困窮するなど誰にでも起こりうる可能性があります。そういった場合に生活を保護する役割として社会保障が存在するのです。
これは日本国憲法第25条の生存権がもととなっており、この第25条1項には「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と明記されています。

社会保障の4つの柱
社会保険、社会福祉、公的扶助、公衆衛生を見ていきましょう!
社会保険とは
社会保険とは主に医療保険や年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険などのことをさします。
医療保険については日本では「国民皆保険制度」が設けられており国民全員が何かしらの医療保険に加入し、保険制度を利用することができます。
※国民皆保険制度は昭和36(1961)年に施行
社会福祉とは
主に社会において「弱者」といわれる高齢者、ひとり親世帯、子ども、障がい者などを対象とした公的支援を行う制度のこと。
例えば保育園の設置や子ども手当、高等教育の授業料の無償化、高齢者や障がい者への福祉サービス、また近年取り上げられている子ども食堂なども社会福祉に該当します。
公的扶助とは
公的扶助は、生活保護や低所得者対策などを生活に困窮しているすべての人に対し、「生活保護法」をもとに保障する仕組みを指します。
生活費や教育費の扶助はもちろんのこと社会手当制度,公営住宅制度などがあり主に生活の自立を助ける仕組みを指します。
公衆衛生とは
感染症対策や環境汚染対策、公害対策、労働衛生対策などをいいます。
また食の安全を確保し、人々が健康で安心できるような環境作りも行っています。
医療保険制度とは
医療保険制度とは、保健医療(医療保険)と公費負担医療があります。
保健医療(医療保険)では、被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度などがあります。いわゆる「国民皆保険」のことをいいます。
公費負担医療では、病気の種類や患者の状況により医療費の全額または一部を国や自治体の公費で負担する制度のことで、公費負担医療を受けるには一定の条件を満たす必要があります。
第33回 問11
(問題)
わが国の社会保障に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
(1)日本国憲法第25条に基づいている。
(2)医療保険制度では、現物給付が行われている。
(3)社会保障給付費の財源で最も多いのは、社会保険料である。
(4)75歳以上の高齢者は、後期高齢者医療制度に加入する。
(5)公務員は、国民健康保険に加入する。
(解答) 5
(解説)
公務員は各共済組合に加入する。
第33回 問12
(問題)
わが国の医療制度の関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)正常な妊娠や分娩に関する費用は、国民医療費に含まれる。
(2)特定健康診査の費用は、国民医療費に含まれる。
(3)病院とは、病床数が20床以上の医療施設である。
(4)無床診療所とは、医師が一人しかいない医療施設である。
(5)基準病床数とは、各医療機関が備えるべき病床数である。
(解答)3
(解説)
(1)正常な妊娠や分娩は国民医療費には含まれない。
(2)特定健康診査は国民医療費には含まれない。
※国民医療費は一年間に病気やけがなどで支払った費用の総額で、特定健康診査をはじめその他健康診断や予防接種、正常な出産の費用などは含まない。
(4)無床診療所は入院施設がない病院のこと。
(5)基準病床数は医療圏ごとに決められる病床数のこと。
第34回 問13
(問題)
わが国の医療保険制度に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)75歳以上の患者では、窓口負担金の割合は収入に関わらず同一である。
(2)後期高齢者医療制度の財源の約1割は、高齢者本人の保険料である。
(3)原則として償還払い給付である。
(4)保険料率は、保険者に関わらず同一である。
(5)被保険者保険と国民健康保険では、受診時の自己負担割合が異なる。
(解答)2
後期高齢者医療制度の財源は 公費約5割、現役世代からの国民健康保険、被用者保険などから4割、高齢者本人の保険料から1割となっている。
(解説)
(1)後期高齢者の窓口負担は所得によって変わる。
(3)償還払いではない。
※償還払いとは一旦自費で建て替えた後、役所で負担分の払い戻しを申請すること。
(4)同一ではない。
(5)被用者保険と国民健康保険では、受診時の自己負担額は同じである。
第34回 問14
(問題)
わが国の医療制度に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
(1)医療計画は、国が策定する。
(2)基準病床数は、医療計画に含まれる。
(3)災害時における医療の確保は、医療計画に含まれる。
(4)三次医療圏とは、最先端又は高度な医療を提供する医療圏を目指す。
(5)20床以上の病床を有する医療施設を病院という。
(解答) 1
(解説)
医療計画は都道府県が策定する。
第35回 問12
(問題)
わが国の医療保険制度に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)保険給付の対象となるものを、保険者という。
(2)被用者保険の対象には、自営業者が含まれる。
(3)医療機関受診の際には、現物給付が原則である。
(4)正常な分娩に対して、適用される。
(5)75歳以上の者は、保険料を支払う必要がない。
(解答)3
(解説)
(1)保険給付の対象となるものを被保険者という
(2)被用者保険の対象には、自営業者は含まれない。
(4)正常な分娩に対して、適用される。
(5)75歳以上の者も保険料は支払う。
用語解説
日本国憲法第25条 「生存権」
生存権では、国民の最低限の生活の保障を有することを定めており、社会保障制度の基本となる法律である。
(第1項)すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する
(第2項)国は、全ての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない
医療圏とは
医療圏とは、医療法に基づき都道府県が策定する病床整備のための単位のこと。
一次医療圏 各市町村を1単位としたかかりつけ医や一般的な外来診療などの病院
二次医療圏 救急医療を含む一般的な医療ができる病院のこと
主に病床の整備を図るべき地域単位として定義されている
複数の市町村をまとめて1単位とし、全国に335の医療圏が存在する
三次医療圏 精神病棟や感染症病棟など専門的な医療や高度な医療を提供するこのできる医療圏のこと
特殊医療機器の配備を行い、特殊な医療を提供する整備を行うことを目的とする。
各都道府県に1つ、北海道のみ6つの医療圏があり計52医療圏がある。
※二次医療圏、三次医療圏共に医療法に基づく医療計画が行われる。
病院と診療所の違い
病院と診療所の大きな違いは病床数です。
病床数 | 人員(最低条件) | |
病院 | 20床以上 | 医師3人 薬剤師1人 患者3人に対し看護師1人 |
診療所 | 19床以下 | 医師1人 |
人員に対しては診療所では医師が1人必要という規定のみであり、その他の人員については定められていません。
※また診療所は「〇〇病院」という風に「病院」と名乗ることができませんが、「〇〇クリニック」や「〇〇医院」といった名称は診療所でも名乗ることができます。
少子化対策?分娩費用の保険適用
【速報】出産費用への保険適用の導入を検討「異次元の少子化対策」のたたき台を政府が発表 (ntv.co.jp)
先日、「異次元の少子化対策」の発表の中で「出産費用の保険適用」の検討が報道されました。
出産時に支給される出産一時金も約20年前は30万円だったのが、現在は42万円支給されています。
ただ現在では出産費用が50万円近くかかる所もあり、大きな負担となっているのは事実だと思います。
42万円支給されたとしても、自己負担はせざるを得ないのが現状です。
この分娩費用が保険適用となれば、金銭面での負担が大きく減ると思います。
個人的な見解では出産そのものもお金はかかりますが、生まれた後のお金(特に高校生以上の学費)の負担はかなり大きいと感じました。
「異次元の少子化対策」に盛り込まれた児童手当の拡充はそういった意味でも、実現したら良いなと思いました。

子供を育てるといっても
学費だけでなく、食費や生活費もその分多くなります。
今は児童手当が15歳までですが、子供の学費や食費などの負担が
多く感じるのは児童手当の期間が終わった後!
産んだ後の子育てのしやすさも重要!
まとめ
・社会保障には4つの柱(社会保険、社会福祉、公的扶助、保健医療・公衆衛生)がある。
・社会保障は憲法第25条の生存権に基づくものである。
・医療保険制度は国民皆保険、現物給付、社会保険方式が行われる。

医療保険制度における現物給付は医療サービスのことです。
また社会保険方式は保険料を主な財源とし、その保険料から給付される方式をいいます。
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