第36回の国家試験に出題された「水道法」に関する問題をもとに解答と解説をしていきます
問題
36-2
水道法に基づく上水道の水質基準に関する記述である
(1)末端の給水栓では、消毒に用いた塩素が残留してはならない
(2)生物化学的酸素要求量(BOD)についての基準値が定められている
(3)一般細菌は「1mLの検水で形成される集落数が100以下」となっている
(4)総トリハロメタンは、「検出されないこと」となっている
(5)臭気は「無いこと」となっている
答え
(3)一般細菌は「1mLの検水で形成される集落数が100以下」となっている
解説
水道法に出てくる一般細菌とは「雑菌」と呼ばれるようなものの総称です。
通常は人体に影響を及ぼすようなものではありませんが、免疫力が低下している状態だと感染症などを引き起こす可能性があります。
一般細菌の基準及びその他基準値については「水道基準項目と基準値」(51項目)にて記載されています。(1番下に「水道基準項目と基準値」のリンクがあります)
その他の解説①
(1)の消毒に用いた塩素については残留してはならない→残留していなくてはならない が正解
残留塩素は0.1mg/L以上と設定されています。
塩素は「体に良くないのでは・・・」というイメージですが、水道水に含まれる塩素は水を消毒する目的で含まれています。水道水を飲むことができるのは塩素が含まれているため、なのです。
ちなみに冷蔵庫の製氷機で氷を作る際も「水道水」をおススメします。
ミネラルウォーターの方が体によさそうですが、ミネラルウォーターには塩素が含まれていないため製氷機などに雑菌が入る可能性が高く、日持ちもしません。
それに対して水道水には塩素が含まれているので製氷機に雑菌が付きにくく塩素による消毒で日持ちもします。
その他解説②
生物化学的酸素要求量については基準は「定められていない」が正解
正確に言うと「水道法」においては定められていないのであって、汚水基準(水質汚濁)の指標として基準が定められています。
「生物化学的酸素要求量が多い」=酸素を必要としている=きれいな環境ではない
ということから、「生物化学的酸素要求量」が多いと水が汚い状況であると判断されます。
その他解説③
(4)総トリハロメタンは、「検出されないこと」となっている。
水道法において「検出されないこと」は、大腸菌のみです。
ちなみにトリハロメタンとは、水道水の消毒で使用する塩素と水中に存在する有機化合物が反応することで生成する物質です。
主なトリハロメタンは クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの4種類で、トリハロメタンは発がん性が疑われる物質であるため、基準値が設けられています。
ちなみに基準値は0.1mg/L以下とされています。
発がん性が疑われる・・・と言われるとなんだか怖いと思われるかもしれませんが、そもそもトリハロメタンは塩素と有機化合物によって作り出されるものです。
先の問題にもあったように水道水には「塩素」は必ず含まれているので、「塩素」は入っているのに「トリハロメタン」は入ってない!なんてことは物理的にほぼ不可能なのではないか、そこのところを理解していると(4)の問題は×と推測できます。
その他解説④
(5)臭気は「無いこと」となっている
「無いこと」ではなく「異常ではないこと」が正解です。
紛らわしい問題だなと思います。個人的には「無いこと」の方が良いに決まってると思ってしまいます。
こちらも水道法に基づく水質基準にて記載されています。
まとめ
身近に存在する水に関しての出題です。
昨年出題されているので今年は出題するかどうか分かりませんが「環境汚染」全般はよく出るのではないかと思います。
↓水質基準項目のリンク↓
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