
臨床栄養の分野で出題される先天性代謝異常の内容と
過去問解説をします
先天性代謝異常とは?
先天性代謝異常とは、生まれつき代謝に関与する酵素の異常によって代謝産物が異常に蓄積したり欠乏したりする疾患のこと。
国試においては主に下記の疾患について問われます。
・フェニルケトン尿症
・ホモシスチン尿症
・メープルシロップ尿症
・ガラクトース血症
・糖原病
検査方法
新生児マススクリーニング検査で調べます。
早期発見、早期治療をすることで発症前から予防を行います。
出題度
第32回 | 問141 |
第33回 | 問141 |
第34回 | 問136 |
第36回 | 問135 |
過去5年間のうち4問出題されています。
出題ポイント
先天性代謝異常の名称、何が原因でどういう物質が体内に蓄積し(※1)、それによってどんな物質が欠損(※2)してしまうのかを正しく理解しておく必要があります。
名称 | 蓄積するもの(※1) | 欠乏するもの(※2) | 制限するもの |
フェニルケトン尿症 | フェニルアラニン | チロシン | フェニルアラニン |
ホモシスチン尿症 | メチオニン ホモシステイン | シスチン | メチオニン |
メープルシロップ尿症 | 分岐アミノ酸 | 分岐アミノ酸 | |
ガラクトース血症 | ガラクトース | 乳糖 | |
糖原病 | グルコース6リン酸 | グルコース |
また疾患名と食事療法の組み合わせの間違いを正しく修正できるようになっているといいと思います。

では過去問を解いていきましょう!
第32回 問141
問題
ガラクトース血症(Ⅰ型)で除去すべき食品成分である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)グルコース
(2)フルクトース
(3)スクロース
(4)マルトース
(5)ラクトース
(解答)5
(解説)
ガラクトース血症はガラクトースの代謝経路の先天的な欠損により、ガラクトースを代謝することができず体内に蓄積させてしまう疾患です。
乳糖は体内に吸収された後「グルコース」と「ガラクトース」に分解します。
そのガラクトースが体内で代謝することができないため、乳糖は制限しなくてはならないのです。
第33回 問141
問題
メープルシロップ尿症の栄養管理に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)エネルギーの摂取量を制限する。
(2)分岐アミノ酸の摂取量を制限する。
(3)シスチンの補充を行う。
(4)食事療法の評価は、血中チロシン値を用いる。
(5)食事療法は、成人期には不要になる。
(正解)2
(解説)
メープルシロップ尿症は分岐鎖ケト酸脱水素酵素の先天的欠損により、分岐アミノ酸が代謝されずに体内に蓄積します。
※分岐アミノ酸はバリン、ロイシン、イソロイシン
第34回 問136
問題
先天性代謝異常症とその食事療法の組み合わせである。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)フェニルケトン尿症ー乳糖制限食
(2)メープルシロップ尿症ーフェニルアラニン制限食
(3)ガラクトース血症ー分岐アミノ酸制限食
(4)ホモシスチン尿症ーメチオニン制限食
(5)糖原病Ⅰ型ー糖質制限食
(解答)4
(解説)
(1)フェニルケトン尿症ー低フェニルアラニン食
(2)メープルシロップ尿症ー分岐アミノ酸制限食
(3)ガラクトース血症ー乳糖制限食
(5)糖原病Ⅰ型ー高糖質、頻回食を行う(低血糖防止のため)
第36回 問135
問題
フェニルケトン尿症の治療用ミルクで除去されているアミノ酸である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1)シスチン
(2)メチオニン
(3)アラニン
(4)フェニルアラニン
(5)チロシン
(正解) 4
(解説)
フェニルケトン尿症は、体内に入ったフェニルアラニンが代謝できず体内に蓄積するため、フェニルアラニンが除去された食事を取らなくてはならない。
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