保健所と保健センター

公衆栄養学

管理栄養士国家試験の「社会、環境と健康」の項目で保健所と保健センターの違いについて出題されることがあります

保健所とは何をするところ?

保健センターは何をするところ?

など比較しながら理解を深めていきましょう。

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保健所とは?

保健所とは広域的、又は専門的な技術を持ち地域保健活動を担う。

地域保健法に基づき1932年(昭和12年)に設置される。

保健所は地域保健法第5条に基づき、「保健所を設置しなければならないのは、都道府県、特別区(東京23区)、政令で定める市などである」としている。現在全国に約470か所の保健所がある。

また保健所には食品衛生の監視・指導などがあります。

栄養士として仕事をしていると「保健所からの監査」が入ることがありますが、それが食品衛生の監視・指導にあたります。

ざっくりというと保健所は専門的なサービスを行い、公衆衛生に関わる業務を行う所です。

保健センターとは?

市町村保健センター(保健センター)は、第一次国民健康づくり対策を契機とし、市町村内すべての住民を対象に、保健師を中心とした健康づくりの拠点として昭和53年に設置される。

役割としては主に対人サービスを中心としています。

また、保健所との大きな違いは保健センターには監督的機能はないということです。

保健所には食品衛生の監視をはじめ環境衛生や医事、薬事などの監視や指導を行いますが、保健センターにおいてはそのような業務がありません。

ざっくりというと保健センターは対人サービス(健康相談や、予防接種、がん検診など)私たちの健康に直接関わる業務を行っているという所です。

保健所と保健センターの違いは?

保健所と保健センターを表にして比較してみました。

保健所保健センター
根拠法地域保健法地域保健法
設置した年1932年(昭和12年)1978年(昭和53年)
設置場所都道府県、特別区、指定都市中核市、
地域保健法施行令で定める都市
市町村
設置数(R3)470か所2457か所
所長医師(原則)※但し例外もある医師でなくてもよい
主な業務地域保健に係る統計、
医師、看護師、栄養士等の免許手続き
飲食店の開業申請
感染症、伝染病などの予防対策
公衆衛生活動、難病対策、
食品衛生、環境衛生の監視、
食中毒発生時の調査など
主に対人サービス
乳幼児健診、予防接種、がん検診、
保健指導、健康相談、

出題度とポイント

評価 :5/5。
第32回問15
第33回問14
第34回問141
第35回問13
第36回問12
過去5年分

社会・環境と健康から4問、公衆栄養学から1問出題されています。

また過去5年間分で見てみると毎年出題されています。

また保健所と保健センターの各役割などは過去問などにおいても、保健所と保健センターの役割や設置数などが入れ替わっていても気づくことができるように、しっかり覚えておきましょう!

それでは過去問を解いていきましょう!

第32回 問15

問題

保健所に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)第二次世界大戦後、初めて設置された。

(2)健康増進法に基づいて設置された

(3)管轄人口は50万人以上と定められている。

(4)要介護認定を行う。

(5)食中毒発生時に、現地で疫学調査を行う。

(解答)5


(解説)

(1)保健所は戦前の1937年(昭和12年)に設置された

(2)×健康増進法→ 地域保健法

(3)管轄人口はおおむね30万人としている。

(4)要介護認定は市町村の業務である。

第33回 問14

問題

1市3町を管轄する保健所の業務である。誤っているのはどれか。1つ選べ

(1)飲食店の営業許可

(2)精神保健福祉の専門相談

(3)結核発生時の接触者健康診断

(4)地域保健医療計画の作成

(5)がん検診の実施

(解答)5


(解説)

がん検診は市町村の管轄業務である。

第34回 問141

問題

市町村(保健所設置しを除く)が実施している公衆栄養活動である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)地域の栄養改善業務の企画調整

(2)地域住民に対する対人サービス

(3)特定給食施設に対する指導

(4)食生活改善推進員の育成

(5)健康危機管理への対応

(解答)3


(解説)

特定給食施設に対する指導は保健所の業務に該当する

(1)は市町村の業務に該当する

(2)は保健センターの業務に該当する

(4)は保健所設置市および特別区、市町村の業務に該当する

(5)都道府県、保健所設置市及び特別区、市町村の業務に該当する

第35回 問13

問題

市町村保健センターに関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)設置については、健康増進法に規定されている。

(2)全国に約500か所設置されている。

(3)保健センター長は、医師でなければならない。

(4)飲食店の営業許可を行う。

(5)対人保健サービスを提供する。

(解答)5


(解説)

(1)の法律は地域保健法である。※保健所も同様で地域保健法を根拠法とする。

(2)全国に約2457か所(R3年4月時点)

(3)医師でなくても良い

(4)飲食店の営業許可は保健所の業務である。

第36回 問12

問題

地域保健に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。

(1)保健所は、医療法に基づいて設置されている。

(2)都道府県型の保健所は、800か所以上である。

(3)市町村保健センターは広域的、専門的かつ技術的拠点と位置付けられている。

(4)医師以外のものも、保健所長になることができる。

(5)環境衛生の監視は、市町村保健センターの業務である。

(解答)4


(解説)

一定の基準を満たした医師が保健所長となることが原則ではあるが、一部例外を認めている。

・公衆衛生行政に必要な医学的専門知識に関し医師と同等又はそれ以上の知識を有する技術吏員

・一定以上の公衆衛生の実務経験

・一定の養成訓練の課程を修了

※上記を満たしたうえで保健所長の医師確保に努力したが確保ができなかった場合、期間を2年程度とし、また職員に医師がいることを条件として特例で医師以外のものを保健所長として設置することが可能である。

(1)保健所は地域健康法に基づく

(2)保健所数は約470か所(R3.4時点)

(3)広域的かつ専門的かつ技術拠点となっているのは保健所である。

(5)環境衛生の監視は保健所の業務である。

さいごに

保健所も保健センターも仕事だけでなく、私たちの日常にも深く関わり身近に存在する施設です。

何となく雰囲気でどちらがどっちの業務に該当するのか分かりにくい所があるかもしれませんが、

問題として「どちらの業務か?」と問われたときにこれは公衆衛生なのか?

それとも私たちの健康に直接かかわるものなのか?といった所から切り開いて解いていくのも良いかもしれません。(あくまでも参考です)

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